家づくりで後悔しないために知っておこう!シックハウス症候群のあれこれ

シックハウス症候群の原因物質【基礎知識2】

2020.01.16

シックハウス症候群 原因物質についてご説明します。

シックハウス症候群の原因物質

前回の記事ではシックハウス症候群の発生の原因と症状について説明しました。
今回はシックハウス症候群の原因物質についてです。


シックハウス症候群の症状を引き起こす原因物質の主なものは、新築やリフォームした時に使用される建材や内装材や塗料に含まれるホルムアルデヒドや揮発性化学物質、それとシロアリ被害から守る防蟻材が挙げられます。しかし原因物質はこれらの建材から発生するだけではありません。

揮発性化学物質は衣類やカーテンなどの製品にも含まれていますし、ホルムアルデヒドは家具やカーペットにも含まれます。喫煙も発生源の1つです。


さらに揮発性化学物質は殺虫剤や防虫剤、芳香剤やワックスに含まれます。揮発性化学物質以外にも暖房器や調理器から発生する一酸化炭素や二酸化炭素も原因となります。カビやダニも大きな原因の1つです。
このようにシックハウス症候群の原因になりうるものは私たちの生活の中にたくさん存在するのです。


厚生労働省では健康で快適な室内空気を確保するため、13物質についての室内濃度指針値と総揮発性有機化合物質(TVOC)の暫定目標値(400μg/m3)を定めています。


また、建築基準法ではホルムアルデヒドについては使用量の規制、クロルピリホスについては禁止物質として指定されています。これらの建築基準法で定められた2物質を含む厚生労働省指針の13物質についてその内容と指針値、そして主に含まれる建材について一覧表にまとめました。

シックハウス症候群 原因:厚生労働省指針の13物質

枠外にある「建築基準法」・「住宅性能表示制度」についての詳細は、法律や決まりの項目で改めて解説します。
さて、表を見ていきましょう。
こちらの厚生省指針13物質については禁止ではなく濃度指針が示されています。
建築基準法にある2つの物質もクロルピリホスは禁止物質ですが、ホルムアルデヒドは制限が示されているだけです。


では、なぜ禁止にないのでしょうか?


その理由はそれら物質を使用しなければ各種建材を作ることができないからです。

ホルムアルデヒドは木材を貼り合わせる接着剤に含まれます。現代の家には数多くの合板(ベニア板)が構造材や仕上げ材として使用されています。
また集成材は構造材や造作材に多く使われています。これら合板や集成材に接着剤が使用されています。

シックハウス症候群 原因:シックハウス症候群の原因になるホルムアルデヒドは木材を貼り合わせる接着剤に含まれます。

これを禁止してしまうと廉価で性能の高い建材を作る事が出来ず、現状の価格で家を作る事が出来なくなってしまいます。
ホルムアルデヒドを含まない接着剤もありますが充分な性能が出ず、耐震や耐火性能が不足します。
他の物質13物質も同様に現代の住宅の性能を確保するために必要な物質です。
そのため使用せざるをえない中でいかに使用量を減らしていくか、また放散量が多い新築直後にいかに排出するかがポイントになります。



まず「排出する」についてですが、近年住宅の高断熱・高気密化は格段に進みました。
隙間係数という単位があります。住宅を作る上で窓やドア等開口部やその周囲、ダクトや配管周りで目に見えない小さな隙間が発生してしまいます。
隙間係数とはその隙間面積を合計し床面積で割った、いわば床1㎡あたりの隙間の大きさを示す値です。従来の住宅では5から10㎠程度あるのが普通でした。


しかし現在の高性能住宅では2㎠程度が当たり前で高性能を謳う住宅では1㎠を切る住宅も珍しくなくなりました。
以前までの住宅では隙間風があったことで有害物質も自然と排出されていましたが高気密化によって家の中に溜まり、濃度が高まっていることがシックハウス症候群の原因の一つとなっています。

また、生活する事で湿気が大量に発生しますが、十分に換気をしていないと主に壁の中など局所的に湿度が溜まり結露を起こしてカビやダニが発生してしまいます。
隙間が大きかった古い家では換気をしなくても問題が無かったかもしれませんが、気密性の高い新築住宅で以前と同じ様な暮らし方をしてしまいますとシックハウス症候群を引き起こしてしまうかもしれません。
排出する=換気するということはとても重要なのです。


「使用を減らしていく」についてですが、建築基準法では、今回ご紹介したホルムアルデヒドの使用制限について記載のある、シックハウス症候群に関する関連項目があります。換気についての項目も記載されています。次回はシックハウス症候群と建築基準法について説明をしていきます。

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