地震から身を守るためにできることを考えるシリーズ

地震から身を守るために~土地編~【方法・手段1】

2019.12.03

震災被害が少ない地域や土地に住むことは地震から身を守ることにつながります。

ハザードマップを調べよう

地震がきっかけで起こる災害の代表的なものは、
〇揺れ自体による建物倒壊
〇土砂災害
〇火災
〇津波
〇液状化


の5つです。
これらの災害はどの地域でも起こりうる災害ですが、住む地域や土地を選ぶことで被害を抑えることができるものです。その指針となるのがハザードマップです。



ハザードマップとは発生が予測される自然災害について、その被害の及ぶ範囲・被害の程度・避難の道筋・避難場所等を表した地図です。
種類は活断層、土砂災害、洪水、液状化、火災など災害毎にそれぞれあり、住む地域の行政が発行するもののほか大学や研究所が発行するものなどもあります。
インターネットで住む地域の「市町村名」 と 「災害の種類」 と 「ハザードマップ」 の3つのキーワードを打ち込めばほとんどの場合は的確な情報がすぐに得られます。


災害毎のハザードマップの活用法について説明します。

活断層ハザードマップ

内陸型の地震の発生源は主に活断層です。
活断層ハザードマップは国内にある断層の位置を表しています。
国内で現在見つかっている断層は約2000ありますが実際はその3倍の6000あると言われています。
ードマップを見て近くに活断層がないからといって安心してはいけません。

地震から身を守るための土地選び(ハザードマップ)

活断層ハザードマップ 出典:産業技術総合研究所地質調査総合センター https://gbank.gsj.jp/activefault/search



地震は震源付近だけでなく広い地域に揺れによる被害を出しますが、やはり過去の地震を見ても地震を起こした断層直上の被害が大きい傾向があります。
もし今から土地を買おうとする人で、地震被害が気になるようでしたら活断層を避けて住むことをおすすめします。


活断層の近くや直上でもどうしても住みたい理由があったり、すでにその地域に土地を持っていてそこで新築を計画している人は、「揺れが強い地域」に住んでいるという自覚を常に持ちワンランク耐震性能の高い家を作る方が良いでしょう。



例えば「法律や決まり2」のページで説明した品確法で考えると「等級2」で計画していたところを「等級3」とすることなどが挙げられます。

土砂災害ハザードマップ

急傾斜地や土石流の危険がある土砂災害危険箇所は約49万カ所、土砂災害特別警戒区域は約33万カ所あります。土砂災害ハザードマップはその場所が記された地図です。

該当箇所の多くは自然のままの地形が残る山の斜面のようなところか、土地の傾斜を吸収し平坦な地形にするためのコンクリートで出来た「擁壁」という壁がある場所だと考えられます。
そのような箇所は巨大地震が発生するごとに「擁壁」の崩壊による地滑りやがけ崩れが起こりニュースになっています。

いくら家を頑丈に作っても下の地盤が崩壊すればもう住むことはできません。熊本の地震や東日本大震災でも被災地ではこれらの不幸が多発していました。

地震から身を守るための土地選び(ハザードマップ)

参考画像:東大阪市内水・土砂災害ハザードマップ記事面  出典:東大阪市 危機管理室

地震から身を守るための土地選び(ハザードマップ)

参考画像:東大阪市内水・土砂災害ハザードマップ地図面  出典:東大阪市 危機管理室

これから土地を求める人はこれら危険箇所や警戒区域と指定されている箇所に住むことに慎重になられることをおすすめします。
土砂災害ハザードマップはインターネットで検索できます。表示形式などは各市町村によって異なります。また地域なども更新される可能性があります。
随時確認することをおすすめいたします。


どうしてもその地域に住みたい理由があったり、すでにその地域に土地を持っていてそこで新築を計画している人は、現在擁壁がある場合はその擁壁の安全性の再調査を行い、古い擁壁の場合は擁壁の作り替えを行うことをおすすめします。
今まだ自然のままの傾斜の土地の場合は大地震にも耐えられる十分な強度を持つ擁壁を建設するか、新築住宅を十分支えられるだけの安全性の高い基礎を作ることをおすすめします。

液状化ハザードマップ

液状化ハザードマップには地震発生の際に液状化を起こす危険性の大小が記されています。
内陸部だからといって安心してはいけません。中越地震の際にも内陸部の川口町でも液状化現象が見られています。
色によって危険性の大小が表されています。2018年に起こった北海道胆振地震では札幌市清田区で住宅地一体が大規模な液状化現象を起こし多くの家に被害を与えました。

地震から身を守るための土地選び(ハザードマップ)

参考画像:液状化可能性分布図 出典:埼玉県



参考画像は埼玉県の液状化被害分布図です。こちらよりWEBサイトでも確認ができます。
液状化ハザードマップを利用する際は下記の点に留意してご確認をください。


・地震被害想定の結果は、いくつかの仮説を積み重ねて算定したものであり、ここで想定
  した地震と同じ地震が必ず起こるとは限りません。したがって、個々の想定被害につい
  ても、調査結果の通りに起こるとは限らないことに留意する必要があります。


 ・『液状化可能性分布図』は、液状化発生の目安を示すことが目的であり、「絶対に液状
  化する・しない」と断定するものではありません。


 ・「液状化の可能性が低い地域」或いは「液状化の可能性が極めて低い地域」についても、
  埼玉県が液状化は発生しないことを保証するものではありません。


 ・『液状化可能性分布図』は、収集したボーリング資料にもとづいて作成したものであり、
  地盤改良などの効果は考慮されていないことに注意してください。



液状化が起こってしまうと住宅が傾き継続して暮らすことが困難になります。軽度な場合はジャッキで傾きを直すことができますが被害が大きい場合の修復は非常に難しいです。
傾きを補修するジャッキアップは数百万円単位の費用がかかる上、今後また被害に遭わないようにするための液状化対策工事もする必要がありこれにも数百万円単位の費用がかかります。



そうならないためにも今から土地を購入される方は液状化の危険性のある地域に住むことは慎重になられることをおすすめします。


どうしてもその地域に住みたい理由があったりすでにその地域に土地を持っていてそこで新築を計画している人は、新築の際に液状化対策工法という地盤の改良工事をすることをお勧めします。建ててから工事を行うより更地の時点の方が安くつきます。
しかし対策工法をしたからといって完璧ではありません。札幌市清田区で起こったような大規模な液状化は戸建て住宅の液状化対策工法では防ぎきれないことも考えられます。

津波ハザードマップ

津波ハザードマップは想定される地震が起こった時に発生する津波による浸水域を示しています。海底の状況や周辺の地形で地域によって津波の高さが大きく異なります。

地震から身を守るための土地選び(ハザードマップ)

参考画像:川越町津波ハザードマップ 出典:三重県三重郡川越町

地震から身を守るための土地選び(ハザードマップ)

参考画像:川越町津波ハザードマップ 出典:三重県三重郡川越町

各市町村のハザードマップはインターネットで確認することができます。
示形式などは各市町村によって異なります。また地域なども更新される可能性があります。
随時確認することをおすすめします。

ハザードマップの他に標高を知ることも有効です。標高は「マピオン」などの地図情報に記載されています。また専用のサイトで「FLOOD MAP」というものもあります。
海水面の高さを任意に変えることができ、該当高さの津波が来襲した場合どこまで被害が及ぶか一目でわかる地図です。



東日本大震災では20m級の津波が発生しています。標高20m以下のところが被害の危険性があるということになりますが、標高20m以下は意外に広く関東では群馬県や栃木県の南部まで16m程度のところが広がっています。


さらにそれらの地域は住宅密集地が多いです。できることなら20m以上の土地に住むことが望まれますが、住民全員が20m以下以下を避けて暮らすことは実質不可能と言えます。

そうなれば20m以下の地域に暮らしていても日頃から避難の方法や場所などをあらかじめ決めて暮らすことが現実的な対応かもしれません。
各市町村のホームページでは避難所などを公開しています。

ただ、海岸に近いところで30分以上歩いても5階建て以上の避難できる建物がないような場所であると津波発生時では命の危険性が非常に高くなってきます。


もし今そのようなところで住まわれていて今後建て替えをお考えであるなら、住み替えという選択肢も視野に入れ検討することをおすすめします。

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