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避難勧告 避難指示が1本化へ、災害対策基本法の見直しで【ニュース】

2020.09.10

「避難勧告 避難指示 一本化」というニュースについて解説します。

※この記事は3分で読めます

「災害対策基本法が見直される」というニュースをご存知ですか?

先日、近年に大規模な水害が立て続けに起こることで、宅地建物取引業法が改正されたというニュースをご紹介しました。相次ぐ水害で実はもうひとつ今見直されようとしている法律があります。

それが「災害対策基本法」です。今回は『災害対策基本法の見直し』 について解説します。

そもそも災害対策基本法って?

災害対策基本法は災害対策関係法律の一般法です。昭和34年の伊勢湾台風を契機として、昭和36年に制定されました。
この法律は、災害対策全体を体系化し、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図ることを目的として制定されたものです。
日本の国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護し、もって社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資するべく、様々な規定を置いています。


「基本法」とは国の制度・政策に関する理念、基本方針を示すともに、その方針に沿った措置を講ずべきことを定めている法律で、その基本方針を受けて行政諸施策が定められて個別法にて遂行されます。


この災害対策基本法では第3節に「事前措置及び避難」が示されており、60条に避難指示や避難勧告について記されています。
「その内容が分かりにくい」「判断が難しい」という声が上がり、改定されることになりました。

災害対策基本法見直しで「避難勧告 避難指示1本化」へ

現行の制度では、災害の危険が切迫している場合に自治体が出す避難情報のうち、
まず高齢者など災害弱者が避難を始める基準となる「避難準備・高齢者等避難開始」を発表します。(5段階の警戒レベルでは「3」に相当)


そのあと、気象情報などが警戒レベル「4」を示す状況になると、避難に要する時間を確保できる場合は「避難勧告」、確保するのが困難なほど危険が迫っている場合は「避難指示(緊急)」を出します。
警戒レベル「5」になると、既に災害が既に発生している状況とされます。


今回、改正の検討がされているのが、この「4」の「避難勧告」と「避難指示」です。

内閣府によれば、
「避難勧告」は「住民はすぐに避難を始める必要がある」という呼びかけであり、


「避難指示は」、より危険度が高く「重ねて避難を促す」との呼び掛け
であるとされています。
このように書くとこの2つの意味は違うことがわかります。

しかし同じ「警戒レベル4」に設定されていることから、複数の自治体などから


「タイミングが2つあって分かりにくい」


「勧告の意味が誤解され、指示待ちにつながってしまう」などの声が上がっていました。


それを今回、避難勧告を廃止し、避難指示に1本化する流れとなり、勧告を発表するタイミングで避難指示を出すことになりました。



避難勧告 避難指示 1本化へ 災害対策基本法見直しで


さらに、すでに災害が発生している警戒レベル「5」の情報として「緊急に安全を確保するよう促す情報」、いわば「避難命令」といった新たな情報を新設することになりました。

こちらの名称ままだ未定です。
これらの改正で災害時の行動指針がより明確になるでしょう。

ちょっと待って!法律の改正は2021年。今年、気を付けてほしいこと。

この災害対策基本法の改正は2021年の通常国会で改正案として提出されるとのことです。
そう、2020年には改正されないのです。


それはすなわち、

2020年のこの後、台風や豪雨などによって大規模な水害に見舞われたとしても「避難勧告」と「避難指示」が出されることを意味します。


考えてみてください。近年未曽有の大水害が頻発することから、法律の見直しが考えられているのです。法律が改正される前でも、命を守る行動は重要です。

「避難指示まで待てばいいや」「まだ、大丈夫でしょ」ではありません。


水害は地震と違う恐ろしさのある災害です。
どーんと大きな被害が最初に来て避難行動するのではなく、徐々に徐々に危険が増してきて、まだ大丈夫だろうと考えているうちに、大きな危険に取り囲まれ逃げる術を失ってしまうのです。



正常性バイアスという言葉をご存知でしょうか?
以下、Wikipediaより引用します。

正常性バイアス(せいじょうせいバイアス、英: Normalcy bias)とは、認知バイアスの一種。社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で[1][信頼性要検証]、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。


自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい[2]、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価するなどして、逃げ遅れの原因となる

Wikipediaより引用

事前災害時こそ、「避難指示が出てるけどまだ大丈夫」「前回も大した事が無かった」などの正常性バイアスが働き、安易な方に思考は進みがちです。
一度の手遅れで命を失ってしまいます。今までの常識や過去の経験が生かされない気象状況に地球は突入しているのです。


政府の方で様々な解りやすい方法が模索されていても、何より一番大切な事は皆さんの行動力です。
災害時に確実に避難できるよう、普段から避難経路など考えておきましょう。

家づくりガイドでは、災害時の避難についての記事を公開しています。
こちらもぜひ参考になさってください。


災害発生時の避難について考えよう【方法・手段】

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