長持ち住まいを実現するために知っておきたい方法・手段
住宅をメンテナンスしよう【方法・手段1】
住宅をメンテナンス するのに日ごろからできることをご説明します。
適切な住宅のメンテナンスとは
このメンテナンスに関する記事をここまでお読みいただいている方は、すでにお分かりだと思いますが
再度お伝えします。
「家は建てたら終わり」というものではありません。家は建てた時から「長い付き合い」が始まるものです。
住む人自身が日頃から家に対して常に関心を持ち、日頃から些細な変化にも気づく愛情が必要です。
それは愛情を持って家族の顔色や様子に関心を持ち、健康を気遣うことと似ています。
住宅会社ではなく、毎日住んでいる皆さんが「家守りの主役」なのです。
今回は「家守りの主役」である、みなさんができる、日ごろから行えるメンテナンスについて説明します。
日頃の暮らし、ここを注意しよう
定期点検は住宅会社が行いますが、発生した不具合を見つけることが目的です。
本来は、まずは不具合自体を極力作らないようにすることが大切ではないでしょうか。
丁寧に使うことと、荒っぽく使うことでモノの寿命が変わるように、家も住む人の使い方でその傷み方は
大きく変わってきます。
そのためには、日頃の暮らしの中で家を気遣う暮らしをすることが大変重要です。
項目ごとにまとめて説明いたします。
●換気や風通しを行う
風通しの良い家は住む人に快適で健康な暮らしを作り出すだけでなく、住宅自体に対しても
同様の効果をもたらします。
空気の循環が滞ることで湿度が増しカビや菌の増殖を促します。
カビや菌が発生することにより、腐敗がおこり本来必要とされる住宅部材の性能を低下させます。
さらに室内空気環境を悪化させてシックハウス症候群を引き起こす原因となります。
淀んだ空気はカビや菌の温床となります。空気を澱ませないためには換気を積極的に行うことが必要です。
室内空気環境を適切に保つために新築住宅には24時間換気扇が付いています。「電気代がもったいない」とか「寒い」もしくは「暑い」からと言って決して換気扇を切らないでください。
さらに物入れの中・家具やピアノの後ろなど、24時間換気扇では換気できない(もしくは換気されにくい)箇所が家には数多く存在します。
天気の良い日などは窓を開け積極的に外気を取り込むとともに、物入れ扉を開けて物入れ内部の隅々まで新鮮な空気が行き渡るようにされることをおすすめします。
●湿度の排出を抑えた暮らし
カビや菌は湿気の高い環境を好み繁殖します。湿気の発生を抑える暮らしを行うことが大切です。
室内に人がいるだけで人から多くの湿気が放散されます。さらに煮炊きものをすると
湿気を大量に放散します。生活する上で湿気の排出をゼロにすることはできませんが、
湿気の排出を抑えた暮らしを行うことはできます。
調理中や食事後も換気を続け湿気を十分に排出することが大切です。
また裸火による石油ストーブは多くの湿気を排出します。二酸化炭素も多く放散されるので人に取っても家にとってもあまり良好な暖房方法とは言えません。
床暖房やエアコンによる暖房が理想的な暖房方式です。
●家の周囲に荷物を置かない
一戸建て住宅に暮らすと庭や家周囲の清掃やメンテナンスの道具として、梯子や清掃道具など様々なものが必要となります。
それらの置き場はおそらく建物周囲になるでしょう。
住宅の専門家ではない方には、建物の周囲は何気ない場所ではありますが、住宅の基礎と外壁の境目付近、
つまり地面から50cmぐらいの場所は床下の換気を行う装置や外壁内の通気を行う重要な装置が
設置されている場所です。
また家の周囲に様々なものが置かれると、もしその中に着火するものがあった場合に放火されるきっかけともなります。
住宅火災の原因の2位が放火です。
建物から火元が離れていれば自然鎮火する可能性は高いですが、建物周囲であれば重大火災につながります。
家の周囲に物を置くことは非常に危険な行為です。極力建物周囲を避けて、物置に置かれることをおすすめします。
●年に1度の大掃除で変化に気づく
住宅の日頃の変化は何気なく見ているだけではなかなかわかりにくいものです。
しかし清掃などで日頃と異なる視点で見ると、その変化を感じたり、違和感があることが多々あります。
時期は特に問いませんが、年に一度大掃除などを行うことをおすすめします。
清掃をしながら、室内外の変化を見つけ出すことができるでしょう。
年末の大掃除で外から出窓の清掃をしている時に出窓の上の壁が少し剥がれているのに気づいてよく見たところ、出窓屋根から雨が外壁内に侵入して窓全体が腐ってきたことを発見したケースもあります。
専門家でなくても「昨年にはなかった」・「昨年と何か違うな」といった感じを抱いたら、住宅会社に質問すると良いでしょう。そのちょっとした違和感が家の寿命を大きく左右することになるでしょう。
●災害前後に点検をする
最近の日本は、ほぼ毎年台風がやってきます。また数年に一度大きな地震が起こっています
大雪も降ることがあります。そのような災害の発生の前後に家の点検を行うことをおすすめします。
災害の中でも事前に予測できて点検を行えるのは台風です。
★飛散しそうなものの固定・片付け
台風は強い風による家の部材の飛散と大雨による住宅各部の浸水や雨溢れが予想されます。
強い風により飛散して住宅に被害を与える原因となるのは、住宅周辺に置かれた荷物類です。
これらが飛ぶことで自宅ばかりでなく近隣の住宅にも被害を与えることが考えられます。
飛散しそうなものはしっかりと固定するか家の中や物置に入れるようにしてください。
★バルコニー排水溝の掃除
大雨が降ることで水が溢れる代表的な部位は2階や3階のバルコニーです。バルコニーには排水を促すドブという溝がありその先に排水口があります。その排水口は多くの場合落ち葉や砂埃で詰まりがちな状態にあります。そのような状態で大雨が降ると完全に詰まってしまい、バルコニーがプールのような状態になります。多くの場合、バルコニーの防水加工は床面より20cm程度まで処理がなされており、その高さまでの浸水だったら大きな問題にならずに済みますが、それを超えたら大事に至ります。
構造体の中に水が入り込み2階ばかりでなく1階も水浸しになってしまいます。そうなると、補修には家の内装の大半を剥がし交換する必要があり、大工事となって費用もかかります。
そうならないために住宅会社によっては「オーバーフロー管」という危険水位の直前で水を排出する管をつけている会社もありますが、つけていない会社も依然多いです。
まず大切なことは日頃から排水口周りを清掃することが大切ですし、台風が来る前に再度確認する事が大切です。管の中で詰まる事もありますのでバケツに水を汲んで流してみるなどして確認してください。
★離れたところから家をチェックする
バルコニーの排水口。落葉を定期的に掃除する事が大切
台風が去った後、家から遠く離れて家をみてください。
屋根材が飛んでしまっていないか、棟や屋根の稜線にあるはずの部材が飛んでなくなっていないか確認してください。
早急に修理しないと次の雨で必ず雨漏りを起こします。
また外壁に飛散物による穴が空いていないか、屋根に飛来物が乗ったりしていないかも確認して、もしあった場合は修理や除去を行ってください。
大雪の後は屋根にダメージがあることがあります。雪止め部材が外れていたり、樋が雪の重さで外れたりすることがありますので確認が必要です。
また、地震の後は室内外の壁を丹念に見てください。それまでなかったひび割れなどがあると構造耐力にダメージが考えられます。
早急に住宅会社に相談することをおすすめします。
窓やドアの開閉具合や鍵のかかり具合も確認して具合が悪いようであれば修理するとともにその原因が構造体にあるかどうか確認する必要があります。太陽光発電を載せている人は、台風や地震の後、確認できるようであればぐらつきなどがないか確認してください。太陽光発電装置のぐらつきは雨漏りの原因となることがありますので早急に修理する必要があります。
●その他の工夫
電気機器は故障の前にはなんらかの予兆がある場合があります。「そろそろ寿命かな」と直感的に感じたら、早めの交換が賢明かもしれません。
機器以外でも近年常識となったサッシのペアガラスも真空やガスの封入で性能を保っており、経年変化でガス抜けが起こり断熱性能の低下とともに内部結露も発生しますので交換が必要となります。
ドアの蝶番や鍵も10万回程度が限界とされています。壊れると開けられないという重大な事態となるので、「なんかおかしい」と思ったら早めの点検や交換が必要です。玄関錠などでは重大事態となります。
便所や台所や浴室の排水のつまりも起こると大変困る問題です。排水が順調でないと感じたら家庭用の専用洗剤で洗浄し、それでも流れなかったら専門業者を呼んだ方が良いでしょう。
一度完全に詰まってしまうと素人では簡単に通すことは難しく、生活機能を停止させてしまいます。
なかなか気づきにくいことかもしれませんが、上記の現象で一番大切なことは、家族の健康を気遣うように家に対してもその健康状態を常に気遣うアンテナを常にはっておくことです。