長持ち住まいを実現するために知っておきたい基礎知識シリーズ

住宅の定期点検について【基礎知識2】

2020.03.05

住宅 の 定期点検 についてどのような箇所でどのような点検を行うかについてご説明します。

住宅の定期点検

住宅 の 定期点検は住宅会社によって一般的に引渡後3ヶ月、6ヶ月、1年、3年、5年、10年そしてそれ以降は有償で10年毎というのが一般的です。

住宅会社は長い経験から該当期間ごとにどのような不具合が発生するかおおよその見当がつき、それらの経験からチェックポイントや項目がマニュアル化され、それに基づき点検が行われます。


不具合や予兆の多くは定期点検で見つけ出されます。


大変重要なことですので、住宅会社から定期点検の連絡があった時は欠かさず行うようにしてください。
今回は住宅会社が定期点検でどのような箇所でどのような点検を行うかについてご説明します。

●床下(基礎内部)の点検

家が劣化する要因の代表的なものとして「腐れ」「シロアリ被害」が挙げられます。


これらの家の耐久性能に関わる重要な被害が発生し始めるのが床下であることから、床下の定期点検はこれらを早期発見するために大変重要です。

住宅会社の床下点検ではまず床下に潜りシロアリの通り道である「蟻道」がないか確認します。

基礎の立ち上がり面に土の様な物で作られたストロー状のトンネルがあればシロアリの通り道(蟻道)です。


住宅 の 定期点検:床下の蟻道写真


これが「蟻道」です。基礎内部の立ち上がり面にこのような蟻道がある場合、その先は土台や柱に繋がっていてすでに土台や柱に「食害」が起こり始めている可能性があります。
住宅会社はすぐさまシロアリ駆除を行うことを施主におすすめします。

住宅会社が他に見る箇所は土台の健全性です。土台は一番地面に近い場所にある木材で構造体の腐朽や劣化はここから始まり出します。

上記のシロアリ被害の有無のほか、腐れやカビの発生がないかを確認します。


そして床下空間の健全性も確認します。床面の裏側に水滴が付いていたり、床面に水が溜まっていたりするようなことがあれば注意信号です。将来、腐れやカビの発生が懸念されます。
原因としては換気不良が考えられます。家の周囲の荷物がある場合は、施主に撤去を促し、それでも改善しないようであれば機械的な換気などの追加の処置をとることがあります。

●基礎の周囲の点検

基礎は建物を支える重要な箇所です。
また地盤の変化などの影響をいち早く受ける箇所でもあり、こちらも重要な点検箇所です。

建物周囲では基礎の表面にひび割れがないか確認します。

基礎はコンクリートで出来ておりその表面を仕上げるためにモルタルを塗ることがあります。
表面のモルタルに発生する微小なひび割れは一般にヘアクラックと言われ、これについては特に心配することはありません。


ヘアクラックに対して建物の歪みや不同沈下等に伴い生じる構造クラックの発生は重大問題です。
表面のモルタルには入る微小なヒビではなく、構造体である基礎コンクリート自体が割れていないか確認します。


参考までにヘアクラックの写真を掲載します。

住宅 の 定期点検:ヘアクラック

ヘアクラックの画像です

構造クラックは外見からだけの判定が非常に難しいです。
ヘアクラックではないような怪しいひび割れを見つけた場合は、専門家の判断を仰いでください。


住宅の品質確保の促進等に関する法律によると、構造耐力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性について、0.3mm以上0.5mm未満のヒビでは「一定程度存する」、0.5mm以上では「高い」とされています。


そのため0.5mm以上の深いひび割れがある様であれば不等沈下による基礎の破損などが考えられます。
早急に手を打たないと建物の崩壊へとつながるので修繕を促します。


基礎内部同様に、蟻道の有無も確認します。また、基礎内部や外壁の通気の阻害となる物が置かれていないか、シロアリを誘引するようなものが家の周りに置かれていないかもチェックします。
そのようなものがある場合は施主に撤去を求めることがあります。

●基礎の周囲の点検

基礎は建物を支える重要な箇所です。
また地盤の変化などの影響をいち早く受ける箇所でもあり、こちらも重要な点検箇所です。

●外壁や屋根の点検

外壁や屋根は日々、紫外線や激しい温度差や風雨にさらされる劣化が激しい箇所です。その健全性を確認することは欠かせません。



外壁や屋根の劣化の多くはその表面から進行します。まず表面の健全性を確認します。
外壁は表面塗装の劣化状況のほか、外壁の繋ぎ目や窓周囲にあるコーキングという粘性の高い防水剤の劣化状況を確認します。
窓周りや外壁の繋ぎ目にから水の侵入を防ぐコーキングは、防水に対し重要な機能を担っています。


屋根では屋根材と各種板金、その下地の劣化状況を確認します。
板金とは金属板を曲げたもので、屋根の板金は雨水の侵入を防いでいます。素材が金属ですので錆が発生していないかを確認します。錆が発生しているようでしたら再塗装や交換を行うよう施主に促します。

逆に見えない箇所から雨水が入り外壁材の劣化が始まった場合でも、その影響は表面の膨れや剥がれという現象を起こします。
そのために外壁や屋根材の表面にその予兆がないか探します。

住宅 の 定期点検:退色や錆が発生し始めた屋根板金

退色や錆が発生し始めた屋根板金。早急な再塗装が必要

住宅 の 定期点検:雨漏れにより裏側に雨水が入り、劣化した外壁材

雨漏れにより裏側に雨水が入り、劣化した外壁材

住宅 の 定期点検:劣化によりひび割れが発生し始めたコーキング

劣化によりひび割れが発生し始めたコーキング

一般的に保証期間内や定期的に塗り替えていれば、問題が起こることはありません。
しかし、潮風が強いとか工場煤煙がひどい地域では劣化が早く起こりますので注意が必要です。


もし外壁材や屋根材自体が劣化しても、その下にもう一層防水層があります。
早急に対処すれば、構造体に至るような重大事態になることは避けられますので悲観しないでください。


雨漏れは住宅の強度や耐久性能に対してだけでなく住まう人の精神的なダメージも大きいので早めの対処が必要です。

●小屋裏の点検

もし小屋裏に入れるようであれば小屋裏に入り過去の雨漏りの痕跡や生活湿度による結露の発生状況を確認します。
雨漏りは知らず知らずのうちに発生し、一度雨漏りを起こすと水道(水みち)ができてしまい、大雨毎に雨漏れを発生させます。

また生活していく上で湿度が発生します。その湿度は上方に移動し小屋裏に溜まります。
昔の工法であれば屋根面を構成する野地板の隙間から瓦の隙間を通り外気に排出されていましたが、
近年の住宅では防水性や気密性が高まったことで小屋裏の上部に留まり結露を発生させる事があります。


慢性的な結露は屋根下地である野地板を腐らせ雨漏りや、ひどくなると屋根の崩壊につながります。
雨漏れがある場合はその原因箇所を突き止め補修します。結露がひどい場合は換気を促進する工事をすることをおすすめします。

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