家づくりで後悔しないために知っておこう!シックハウス症候群 方法編

シックハウス症候群にならないために~家づくり編~【方法・手段1】

2020.02.14

シックハウス症候群にならないために、家づくりでできることを説明していきます。

シックハウス症候群にならないために家づくりの際に最も大切なこととは、


1.厚生省指針にあるような物質を極力含まない建材を選ぶこと。

2.換気を十分に行うこと


この2項目です。では早速1.から説明していきます。

家づくりの建材は選ぼう

工業材料であろうと、自然素材であろうと多くの「もの」は様々な化学物質を放散しています。
その中には人々に害を及ぼすものもあれば人々に良い効果を与えるものもあります。
全く化学物質を放散しない素材ばかりを集めることは非常に難しいことです。

ただ厚生省指針にある原因物質については極力避ける必要があると考えられます。
ここで以前でもご紹介した厚生省指針にある原因物質についてもう一度見てみましょう。


シックハウス症候群にならないために:厚生労働省指針の原因物質


一覧表の中の「発生源の例」の項目を見てお分かりと思いますが、多くは接着剤塗料防蟻剤樹脂を柔らかくする可塑材に含まれます。特にホルムアルデヒドは合板やMDF、パーチクルボード、集成材など木材を主原料とした板材や棒材を作るための接着剤に多く含まれます。


これらは住宅の構造剤(柱、梁、床下地、屋根下地)の重要な部位で使用されています。
また、フローリンングの本体や表面、造作材、家具やキッチン等、住宅の様々な部位で数多く使用されています。その為に完全に排除することは不可能に近いと考えられます。


手段のひとつとして無垢材を使用することが挙げられます。無垢材であれば接着剤は使用されておらず安心できると考えられます。
ただ、無垢材は性能品質にばらつきがある上、強度的にも低いことが多くあります。また節やひび割れ、腐れや曲り、虫害痕等が有り、使用するに当たっては許容できる大らかさが必要となってきます。

また構造材や仕上材で使用をする場合であっても経年変化でソリやねじれが建築後も続き住宅の軋みや隙や割れとなり、よほど無垢材に関して許容できる知識や経験と大らかさのある方でないとストレスが多いと思います。これらの様々なストレスに対しても耐えられるようであれば自然素材を使うことをお勧めします。

シックハウス症候群にならないために:無垢材の使用



悪い面ばかりを書きましたが、当然、無垢材は工業製品にはない温かみや質感のほか、自然素材に囲まれて暮らす豊かさも得られるので、近年非常に使用する人が増えてきています。
健康面からだけでなく自然素材の持つ豊かさを感じる意味でも是非一度検討なさることをおすすめします。

ただ、非常に重度な過敏症であるならば自然素材であっても安心することはできません。

例えばヒノキからはヒノキチールという物質が放散しそれに反応する人もいます。
一概に自然素材だから安心ということは禁物です。


無垢材を選ぶ以外で考えられることとしては厚生省13物質の放散量が少ない建材を選ぶことです。
ホルムアルデヒドについては「F☆☆☆☆」を選ぶ事です。これにより放散量を最小化することは確かです。

しかしF☆☆☆☆といえどホルムアルデヒドがゼロではありません。ホルムアルデヒドの放散が平均0.3mg/L以下・最大0.4mg/L以下であるという基準です。

未使用という事ではありません。
そのため厚生省13物質を避けるということであれば、逆説的ですがさらなる人工材料を選ぶことも一つの手です。
例えば構造材を木ではなく鉄やコンクリートにするとか、造作材や床材をオレフィン系樹脂で作られた建材にする事も一つの手だと思います。樹脂系建材であれば近年意匠面でも優れたものが多く出てきていますし、浴室や玄関などシロアリ被害や腐れの危険性の高い部位での使用が進んできており、それほど違和感のある素材ではなくなってきています。

シックハウス症候群にならないために:接着剤でも指定物質を使用しないものもある

接着剤でも指定物質を使用しないものもある

シックハウス症候群にならないために:樹脂系建材

樹脂系建材

何度も書きますがF☆☆☆☆といえどホルムアルデヒドがゼロではありません。

また様々な方策を使いホルムアルデヒドを減らしたとしても現代の家からホルムアルデヒドをゼロにすることはまず不可能でしょう。


さらに、基準ではF☆☆☆☆は無制限に使えることになっていますが、「F☆☆の建材をほんの一部しか使用していない家」「F☆☆☆☆の建材を大量に使用した住宅」であれば、安全とされているF☆☆☆☆を使用した家の方が空気中のホルムアルデヒド量は多くなる可能性があります。F☆☆☆☆を使用しているからといって安心せず総量を減らすことが大切です。


さらに揮発性物質であるホルムアルデヒドは温度が高くなると放散量が増えてきます。冬には大丈夫であっても夏に症状が出ることも予想されます。特に夏長い間家を閉め切っているとホルムアルデヒドが充満することが予想されます。ですのでページ冒頭で述べた、2.の項目にあたる「換気を怠らない」ことも大切なのです。

換気を十分に行おう

様々な揮発性化学物質は、製造直後が最も多く放散し、年月を追う毎に減少するのが一般的です。
それはみなさんが「新築の臭い」「新車の臭い」「新しい服の臭い」などで日頃無意識に感じているものだったりします。

そのため、新築中や入居直後は特に換気を積極的に行うことが効果的です。


工事期間中を活用し排出を促す心がけの高い住宅会社もあります。そういった会社は顧客にとって非常にありがたい会社だと思います。
またホルムアルデヒドには、空気や水蒸気を通して、他のものに付着・吸収されやすい性質(移染)があり、周囲の色々なものに移染してしまうことがあります。
建材から放出されたホルムアルデヒドは、換気装置を使い直ちに室外に放出しないと、生活空間内にある衣服や家具に移染してしまう可能性があるので注意が必要です。


一度移染してしまうとなかなか排除することができなく、いつまでもタンスや室内で放散し続けることとなります。
そのために建築基準法で定められた24時間換気は重要です。F☆☆‥に応じた換気回数を厳守することを忘れないようにしてください。また季節の良い時期には物入れの扉や窓を開放し換気を積極的に行ってください。
以前、シックハウス症候群に関する法律でもご説明した図をもう一度掲載しておきます。

シックハウス症候群にならないために:建築基準法で定められる換気基準

電気代がかかるとか、音がうるさいとか、外気が入ってきて不快。という事で換気装置を切る方を多く見かけますが絶対に行わないでください。


また、揮発性化学物質は建築後年数をおうごとに減少していきます。それにより室内の揮発性化学物質の濃度が下がっていることは事実ですが、揮発性化学物質は建築時に使用した建材だけでなく、新たに購入した家具や衣類やカーテンのほか、クリーニングされたものからも発生します。また、人がいる事や家事で一酸化炭素や二酸化炭素も発生し充満しがちです。年月が経ったからと言って24時間換気を切ることがないようにすべきです。

シックハウス症候群にならないために:24時間換気は常にONにする

「せっかく高気密・高断熱住宅に住んだのに換気して適切な温度の空気を排出することはおかしい」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。

確かに貴重なエネルギーの温存を考えるとそうかもしれませんが、熱を閉じ込めると同時に生活で排出される様々な有害物質を閉じ込めてしまいます。


「高気密・高断熱化を行う」ということは、「計画換気を適切に行う」という技術と対で行われるべきこととご理解ください。
近年、高気密・高断熱住宅が健康に貢献しているといった研究報告がなされています。そのような価値ある高気密・高断熱化を享受する上でも換気は需要な要素であることを忘れないでください。



次回はシックハウス症候群にならないために事前に確認できることなどをご紹介します。

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