地震に強い家づくりのために知っておきたい法律や決まりシリーズ

地震に強い家づくりの関連法規【法律や決まり3】

2019.11.20

家を建てるということは周囲の環境や地域の人々に長期にわたり影響を与える事象でもあるため、多くの関連法規が存在します。


その内容は「家を建てるために必要な地盤の性能を求めるもの」や、「周囲の景観を守るための景観条例」、「埋蔵文化財を守るための文化財保護条例」など様々存在します。
非常に数が多く、さらに地域によって大きくと異なります。地震関連で代表的なものは「宅地造成等規制法」です。今回はこれを簡単に解説いたします。


宅地造成等規制法

傾斜地に家を建てようとすると多くの場合土地の傾斜を吸収し平坦な地形にするためのコンクリートで出来た「擁壁(ようへき)」という壁を作る必要があります。
擁壁は地盤が崩れることを防ぎその上に立つ住宅を長期に渡り支えられるだけの性能を必要とします。もし力が不足しているようであればその擁壁の上に住む人だけでなく下に住む人の生命も脅かされます。
巨大地震が発生する毎に擁壁が崩壊し地滑りやがけ崩れが発生し、被害が出ているニュースが報道されます。


2016年熊本地震での擁壁被害

住宅本体は巨大地震に耐えたにも関わらず、擁壁が破壊された事で危険建物と判定された事例も。

いくら家を頑丈に作っても下の地盤が崩壊すれば住むことはできません。熊本の地震や東日本大震災でもこれらの不幸が被災地で多発していました。

宅地造成等規制法ではその擁壁の必要性や強度の基準が明記されています。
傾斜地などで家を建てる際には必ずと言って関係してくる法律です。
この法律をパスしないと家を建てることはできません。

元の土地を2m以上削った場合、または元の土地に1m以上土を盛った場合に該当します。今すでに擁壁があるからといって安心はできません。
古い擁壁や正しく計算されず作られた擁壁では建築することはできません。

住宅を建設する前には必ず、

・擁壁の状態
・新築の際そのままの擁壁で新築して良いか

を確認する必要があります。

擁壁を作るには非常に多くの費用が発生します。擁壁が脆弱だったために作り直しが余儀なくされ住宅にかける費用が削られることが度々発生しています。計画当初よりその費用を明確にする必要があります。

新規に土地を買う方は購入前にしっかりと調査を行い擁壁にかかる費用も含め購入を決断するようにしてください。

優遇措置(減税・金利優遇・補助金など)

性能の高い家づくりには誰もが異議はないと思いますが、性能を高くするには費用が掛かり、それがネックとなり、希望の性能を実現できない人は数多くいます。
欧州に比べ日本は暮らしの面で非常に貧しいとみなさん感じておられると思います。これはある面、事実です。欧米の家の寿命は長く住宅に関する費用負担が少ないことが原因の一つと言われています。


ご存知の通り日本の家の寿命は25年程度で一世代が1軒の家を作るというサイクルになっていて、家のためにあくせく働くという構図になっています。
それに比べ欧米の住宅寿命が長く、1つの家を何世代もが使うことで、一世代位あたりの住宅費用が安くついて浮いた分で暮らしを楽しむことに使えると言われています。

そのためにも日本でも寿命が長く何世代も使い続けられる性能の高い家を増やしていかなくてはならないと考えられています。
そのインセンティブとなるのが補助金や金利優遇や減税措置です。

確かに総額は増え初期において費用出費やローン総額の増加となりますが、補助金や金利優遇や減税措置で生涯出費は性能の低い家を建てるよりお得になるようになっています。

ですので多くの補助金や金利優遇や減税措置の多くは性能の高い家を建てることが条件となっていることが多いです。皆さんも初期費用に余裕があるようでしたら「性能の高い家づくり」を行うことをお勧めします。




<現在実施されている高性能な家が条件となっている代表的な優遇措置>

補助金・・・・ZEH(ゼロエネルギーハウス)補助金

金利優遇・・・フラット35S。

税制優遇・・・贈与税や長期優良住宅など



優遇措置は毎年変化しますのでその都度住宅会社に聞いてみる、関連ホームページで確認することをおすすめします。

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