長持ち住まいを実現するために知っておきたい 法律・決まり
住宅のメンテナンスに関する法律【法律・決まり】
建築基準法
建築基準法は、他のカテゴリでもすでに出てきていますが、我が国において建築物を建てる際に必ず守らなければいけない法律です。
その中に建物の維持管理に関する項目があります。
「第8条 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。」
住宅の所有者は適切に建物を維持管理し健全な状態を保つ事を義務付けられています。ただ、具体的にどうすればよいか等は記されていないのが現実です。
住宅品質確保促進法
日本国内で建築物を作るには必ず守らなければならない法律が建築基準法であるのに対して、
住宅建築に限っては任意ではありますが、住宅品質確保促進法という法律があります。
住宅品質確保促進法は、住宅性能表示制度や新築住宅の10年保証などについて定めた法律です。
住宅品質確保促進法は、
1.新築住宅の瑕疵保証制度の充実
2.住宅性能表示制度の創設
3. 住宅専門の紛争処理機関の設置
この3本柱から成り立っています。その中の「2.住宅性能表示制度の創設」の中でこれから建てる住宅のあるべき姿を示しています。
住宅会社はこの制度を自社が建てる建物の強度を示すことに活用し、顧客は自身が求める性能を住宅会社に示すことに活用されています。
住宅のメンテナンスについてはこの「住宅性能表示制度」の中で、「維持管理対策等級」という項目があります。配管の清掃や補修のしやすさや更新対策(維持管理・更新への配慮)でその性能を示しています。
具体的には給排水管やガス管の維持管理をしやすくするための対策や、排水管の更新を軽減するための対策を評価し、それぞれ等級1から3で表示しています。
最も性能が高いとされる等級3は、構造躯体と仕上げに影響を及ぼさずに配管の点検、清掃が行え、構造躯体に影響を及ぼさずに配管の補修が行えるもの。
次に高い等級2は、構造躯体に影響を及ぼさずに配管の点検、補修が行えるもの とあり、最低の等級1は等級2に満たないものあります。
具体的な施工方法は、以下の通りです。
●配管をコンクリート内に埋め込まない
●地中埋設管上にコンクリートを打設しない
●配水管に掃除口又は清掃できるトラップを設置する
●設備機器と給排水管の接合部、給排水・ガス管のバルブ及びヘッダー、配水管の掃除口が隠ぺいされている場合、点検・清掃のできる開口を設置する
このような施工を行えば、高い等級を得る事ができるでしょう。
近年この住宅品質確保促進法の性能表示等級が数多くの住宅会社で活用され、維持管理等級3がほぼ常識化しつつあります。
これから住宅を新築する場合は、等級3に準じる性能を持つ家を建てることをおすすめします。
長期優良住宅普及促進法
「長期優良住宅」とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅を指します。
長期優良住宅普及促進法は、この長期優良住宅の普及を促進することで、環境負荷の低減を図りつつ、良質な住宅ストックを将来世代に継承して、より豊かでやさしい暮らしへの転換を図ることを目的としています。
耐久性、耐震性、維持保全の方法などについて、一定の基準を満たす住宅を建築した場合に、認定申請をすることができます。
認定を受けた住宅については、税制上の優遇措置等の支援(登録免許税、不動産取得税、固定資産税、所得税等)を受けることができます。
政府はこのような住宅が今後数多く建つ事を推進しており、現在建つ新築住宅はこの基準に合致しているか同等の性能を持つ家がほとんどになっています。
●長期優良住宅の認定基準について
長期優良住宅に認定されるには長期使用構造である事が求められます。
具体的にいいますと、前項目で説明をした「住宅品質確保促進法」の性能表示等級において
●劣化対策等級:等級3
●耐震等級:等級2以上
●維持管理等級:等級3
●省エネルギー対策等級:等級4以上
が求められます。また、上記以外にある一定以上の住居面積が必要なうえ、
●居住環境への配慮がなされていること
●維持保全計画が策定されていること
が条件となります。
テレビの情報番組でゴミ屋敷や老朽化した家の存在が周辺住民の危機となっている事が取り上げられています。近年、空き家が増加していることでその不安要素は高まっています。
住宅のメンテナンスや維持管理に関する法律は今後もっと身近になってくるかもしれません。