換気と通気で守ろう!人の健康
第1種換気・第2種換気・第3種換気のメリット・デメリット【方法・手段】
第1種換気・第2種換気・第3種換気についてとメリットデメリットについてご説明します。
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換気を効率的に行うために方法を知ろう
換気を効率的に行うためには「入口」・「出口」・「通り道」の3つを適切に作り出すことが重要です。
換気は新鮮な空気を「どこから入れて」、「どこを通り」、「どこから出すか」を計画的に考える必要があります。
「入り口」とは「給気口」の方式とその場所です。
「出口」とは「排気口」の方式とその場所、通り道とは吸気口から排気口への空気に流れの経路とその途中にある障害物の対策です。
「新しい生活様式」で考える「換気の在り方」では、「常時換気」と「局所換気」について説明しました。まず、今回は「常時換気」の方法から説明します。
常時換気の方法
●第1種換気・第2種換気・第3種換気とは
常時換気には3つの方式があります。第1種換気方式・第2種換気方式・第3種換気方式です。
【第1種換気】
第1種換気方式とは入口である給気口・出口である排気口の双方にファンなどの機械換気装置をつける方式です。
機械により、空気を入れて機械により空気を出すことで、効率良く計画的に換気ができます。
<第1種換気のメリット>
・室内の気圧は外気とほぼ同等となり問題を発生する危険性が少ない。
・狙いの場所から空気が入り狙いの場所から空気が出るので狙い通りの換気が可能。
<第1種換気のデメリット>
・双方に機械がつくことで費用がかさむ。
【第2種換気】
第2種換気方式とは、入り口にファンなどの機械換気装置を取り付け、出口には機械換気装置はなく自然排気で簡単に言うと、「ただ穴が空いているだけ」という換気方式です。
入り口にあるファンが強制的に室内に空気を押し込み、押し出される形で排気口から空気が出て行くことで、室内の気圧が外気より上がります(正圧となる)。
3つの方式の中では最も普及していません。
<第2種換気のメリット・デメリット>
第2種換気は、正圧になることが使用される建物の使用用途により、メリットにもデメリットにもなりえます。
正圧であることは、常に新鮮な空気を取り入れることができるため、クリーンルームではメリットとなります。
しかし一般的な木造戸建て住宅の場合、室内の湿度や汚れた空気が屋根裏や壁の中に入り込み、多くの湿気を含んだ空気が急激に冷やされて、結露を起こす可能性が非常に高くなります。
特に北海道などでは注意が必要です。そのため、木造戸建て住宅ではこの換気方式はほぼ使われておりません。
【第3種換気】
第3種換気方式とは、第2種換気方式とは逆で、入口である給気口は自然給気。出口である排気口にファンなどの機械換気装置が取り付いた方式です。
出口で空気を引っ張り出していることで、室内は外気より気圧が下がります(負圧となる)。
多くの場合、1階はトイレと洗面所、2階はトイレの換気扇で排気を行います。多くの場合、トイレの局所換気と併用されます。3つの換気方式の中で1番普及している換気方式です。
<第3種換気のメリット>
・導入・ランニングコストが安いこと
・負圧になるため、室内は外気より気圧が下がり小屋裏や壁内への湿気の侵入を防ぐことができる
<第3種換気のデメリット>
・小屋裏などの多少汚れた空気が入りこむ危険性がある。(小屋裏や床下は木材や合板などが露出している場所であり、ホルムアルデヒドや防腐・防蟻剤が内装材に包まれた室内より多く発生する箇所であるため。)
・住宅の気密性能があまり高くない場合、様々な隙間から空気が室内に流入することで、給気口から十分な給気が行われず、家の中に換気不良の箇所が生まれる危険性がある
<どの換気方式がおすすめ?>
換気方式のおすすめは、家に住まう皆さんが何を重視するかによって異なります。
●室内の換気を効率的かつ正確に行うことを重視 → 第1種換気をおすすめします。
●家づくりも生活もコスト重視 → 第3種換気をおすすめします。
●さらに高性能な常時換気 ~ダクト方式~
先ほどの項目で3つの換気方式を図で表したものがありました。第2種換気と第3種換気については、実際の住宅でも図の同じような取付状況が目視で確認できることでしょう。
ただ第1種換気の多くと一部の第3種換気は、壁に給気口や排気口が付いていないことがあります。
その理由は「ダクト方式」を採用したからです。
ダクト方式とは換気装置を天井裏などに取り付け、ダクトを使い各部屋の換気を行う方式のことです。
<ダクト方式のメリット>
・各室の理想的な場所に吹き出し口を設けることで、理想的な換気経路を作れること
・壁に穴が空いていないので外部の音が直接入ってこないこと
<ダクト方式のデメリット>
・ダクト内にほこりが溜まり、清掃することも困難である
ダクト方式ではさらに「熱交換」という技術を使用することができます。
この記事を読まれている皆さんの中には「そんなに換気したら、せっかく冷暖房した快適な室温が台無しになってしまうのでは?」と感じられている方もいるのではないでしょうか?
熱交換技術を使用することで快適に保たれている室内の温度をなるべくそのままに空気を換気することができます。
原理としては、「排出する室内の空気」と「吸入する外気」を薄い紙やアルミの幕で隔てた壁で触れ合せ、排出する空気から室内の温度を取り出し、吸入した外気に入れる作業を行います。
接する膜が紙の場合は、湿度も交換しますので同様の湿度を保つことも出来ます。アルミの場合、湿気は交換しませんので排出されます。湿気を排出したい北海道等ではアルミ膜が多く使われます。
ただ、「熱交換」という言葉から「熱交換システム」を「冷暖房」と勘違いされるケースがあります。「熱交換システム」は冷暖房の機能はありません。
室内を快適な温度に保つためには冷暖房は別途必要です。
ちなみに、ダクト方式を使わず、1個の換気扇内で給気と排気が同時に行え、さらに熱交換が出来る「同時吸排型換気扇」というものもあります。
コストはかかりますが、第1種換気はこれらの最新技術を活用出来る理想的な換気方式といえます。
●見逃せない、空気の通り道についても考えよう
空気の入口、出口に続き「空気の通り道」についても説明します。
空気の入口と出口を近い所に設置してしまうと、「ショートサーキット」といった短い距離での循環が起こってしまい、そこから離れた場所の換気が滞ってしまう危険性が増します。
給気口から排気口までの空気の流れを、部屋全体にまんべんなく行き渡らせることが重要になります。そのため、給気口と排気口は家の対角線上に双方を配置することが基本となります。
ここで皆さんの中には「おや?」と疑問を持たれる方がいるかもしれません。
「家の対角線上といっても、家の中には個室やトイレ、洗面にはドアがあるけど大丈夫なの?」
その疑問は正しいです。
確かにドアは換気の障害となります。その為にある工夫がなされています。皆さんも部屋のドアを見てみてください。ドアの下の床との間に1cm弱の隙間がありませんか?それが「アンダーカット」です。
「何か寸足らずな感じだな」「光が漏れて嫌だな」と感じた方も多いと思いますが、ドアのアンダーカットは換気する上で必要な大切な「空気の通り道」です。
アンダーカットは床面からの換気となりますので、天井付近の空気の交換には時間がかかります。
しかし、心配はいりません。日頃の暮らしの中のドアの開閉などで自然と換気が出来ています。また、天井までの高さのあるドアや、「欄間」というドアの上に換気できる装置が付いたものなども発売されています。部屋同士や部屋と吹抜けを繋ぐ室内窓等も近年流行しています。換気面についても効果的なアイテムなのでぜひご検討ください。
局所換気の方法
今まで常時換気についてお話してきましたが、局所換気についても説明します。
通常の暮らしの中での2酸化炭素の発生や人が発する水蒸気の他に、日頃の調理でガスを使用した場合等は一気に有毒なガスが放散されます。また入浴では大量の湿気が生まれ住宅内に充満します。トイレを使うと臭気もこもります。
これら一時的に高まった「ガスや湿気」を一気に排出したいシーンは生活の中に多く存在します。そんな時に役立つ換気が局所換気です。
キッチンコンロの上のレンジフード換気扇・トイレの換気扇・浴室換気扇がその主たるものです。これらは使用時とその後数分間の稼働で有害な物質を排出してくれます。
喫煙者の場合は、部屋に局所換気装置を付けることで、喫煙後に室内の局所換気を稼働させれば、部屋の空気を一気にきれいに出来ると共に、室内のヤニ汚れの軽減にも役立ちます。
●クロゼットや押し入れの換気の必要性
クロゼットや押し入れの換気の必要性については、グレーゾーンで除外されることがあります。
しかし、実際は湿気を含んだ衣服や寝具が収納されており、密閉した空間であるためにカビが生えやすい環境にあります。
この部分の換気は義務ではありませんが、出来る限り換気を促す措置を取るべき空間であると考えます。
ただ、収納の中の空気を強制的に室内に引っ張り出すことは、汚れた空気を多く室内に取り入れることとなり、あまりおすすめできません。
特別な排気装置を収納毎に取り付けることはコストの観点からも難しいと思われますので、天気の良い日は窓と収納の扉を開けて、内部の空気を自然に入れ替えるように心がけましょう。